人間の5つの基本的欲求
子供の心を理解するのに手助けとなるものの1つが心理学です。今日と明日で「選択理論」という心理学を紹介します。
「選択理論」はアメリカの精神科医であるウィリアム・グラッサー博士が提唱する理論で、日本でも多くの関連書籍が出版されていますし、この理論を教育に取り入れている学校もあります。
まず基本的な概念として、グラッサー博士は
「人間には5つの基本的欲求があり、それらの強さは先天的にもって生まれた遺伝子の指示であるため生涯変わらない」
と言っています。
5つの基本的欲求とは次のようなものです。
愛・所属 人とつながりたいという欲求。愛し愛されたい、仲間の一員でいたいという欲求。
力・承認 自分は重要な存在でいたいという欲求。認められたい、人の役に立ちたいという欲求。
自由 自分のことは自分で決めたい、強制されたくないという欲求。
楽しみ 楽しいことをしたい、新しいことをやってみたい、学びたいという欲求。
生存 安心や安全を求める欲求。食べたい、休みたい、生き長らえたいという欲求。
これらの基本的欲求のそれぞれの強さは親子で似ている場合もあれば、異なる場合もあります。
学校のクラスには、仲間と一緒に活動するのが大好きという子もいれば、一人で静かに過ごす方が好きという子もいます。
人前に出ることを好む子もいれば、できるだけ目立ちたくないという子もいます。
これらの違いを説明するのに、子供たちの基本的欲求の違いの可能性を指摘できます。(もちろん他の要因もあるでしょう。)
欲求が満たされる世界(上質世界)
このような基本的欲求をもっている私たちは、それらを満たしたいと思って日々生活をしていますが、欲求の満たし方は人それぞれです。
ここでグラッサー博士は、「上質世界」という概念を説明しています。
上質世界とは、
「基本的欲求を1つ以上満たす人、もの、こと、状況、信条が蓄積される特別な世界」
と定義され、欲求を満たすイメージ写真のアルバムのようなものです。
例えば算数が大好きだいう子は、算数がその子の上質世界に入っています。
算数をすることで5つの欲求のうちの「楽しみ」の欲求が満たされるのかもしれませんし、「力・承認」の欲求が満たされるのかもしれません。
この上質世界は基本的欲求と違って後天的なものなので、成長とともに絶え間なく変化していきます。
今お子さんの上質世界に入っているものは何でしょう?
大好きなこと、夢中に取り組んでいること、憧れの人…。
それらはお子さんの基本的欲求と密接に関係しているはずです。
(続きは明日)→こちら。
<参考>
・渡辺奈都子著「人間関係をしなやかにするたったひとつのルール はじめての選択理論」(ディスカヴァー21)
・ウィリアム・グラッサー著 柿谷正期翻訳「グラッサー博士の選択理論-幸せな人間関係を築くために」(アチーブメント出版)
投稿者プロフィール
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誰もが自分の個性や才能を生かして、望む人生を自由に生きられる社会の実現を目指しています。今まで教育に携わりながらコーチング、心理学、カウンセリング、占星学、学習法など、個人の成長や能力開発に関わることを学んできました。このブログで発信する情報が、自己理解や他者理解を深めるきっかけの1つになれば幸いです。
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