音読のバリエーションが増えれば国語の授業がさらに楽しくなる!良書紹介「論理が身につく『考える音読』の授業アイデア50(東洋館出版社)」

国語の授業で、「音読」は子供が好きな活動の一つである。新しい単元に入ったときなど「先生、マル読みしよう!」とリクエストされることも多い。

しかし、いつもいつも同じ「マル読み」をしていたら、さすがに子供も飽きるだろう。

本書(「論理が身につく『考える音読』の授業アイデア50(桂 聖・編著、考える音読の会・著 東洋館出版社」)は、音読には実にさまざまなバリエーションがあることを教えてくれる。説明文と文学で、それぞれ50の音読のアイデアが示されている。その中から「これは簡単!すぐにでもやってみたい!」と思った音読アイデアを紹介しよう。

パーフェクト読み
リレー読み
たけのこ読み
マル・テン読み
動作読み
ぼく読み
〇〇さん読み
意味段落読み
つぶやき読み
主語読み
接続語強調読み
頭括・尾括読み
対比読み
文章構成図動作読み
役割読み
重ね読み
形容詞入れ替え読み
情景表現置き換え読み
比喩表現とばし読み
補い読み(体言止め)
倒置比べ読み
クライマックス読み

パーフェクト読み
マル読み(句点で交代する音読)をして、途中で間違えたら最初から読み始める。(ただし間違ったことを責めない)

リレー読み
子供の好きな所(マルや点のある所)で交代しながらリレーをする。集中力がアップ。

たけのこ読み
子供が読みたい文を選び、その文になると立って音読をする。読む人が誰もいない時には様子を見て必ず誰かが音読することを約束。

マル・テン読み
句点、読点のどちらでも読み手を交代する。接続語が際立つ。

動作読み
動作化をしながら音読することで、イメージしながら読み取ることができる。どんな役が何人必要なのかが確認できる。

ぼく読み
主語を「ぼく」に置き換えて読むことで、人物や物に同化して読むことができる。

〇〇さん読み
〇〇を〇〇さんと「さん付け」することで、擬人法を意識させる。

意味段落読み
意味段落が切れていると思うところまで読む。なぜそう考えたのかを話し合う。

つぶやき読み
本文の音読に対して読み手の反応をつぶやく。反応は大きく二つに分かれる。「うん」「なるほど」といったあいづちと、何らかの考えや答えを返す反応の二つ。筆者の説明の工夫に気づくことができる。

主語読み
文章の中の主語だけを音読する(他は教師が読む)ことで、主語の意味を理解する。

接続語強調読み
 ①逆接(「しかし」など)
逆接の前後の文を強調して読み比べ、後ろの方に重みがあることを体感する。
 ②並列・添加(「また」「さらに」など)
「また」「さらに」を強調して音読することで、意見を重ねて述べるための表現が理解できる。
 ③まとめ
まとめの所はみんなで音読する。本論が集まって結論が作られるという文の対応関係を楽しくわかりやすく理解させる。

頭括・尾括読み
段落の要点はみんなで読み、それ以外はマル読みで読む。頭括型や尾括型の構成が理解できる。

対比読み
対比関係にある内容を役割に分かれてそれぞれ読む 。

文章構成図動作読み
形式段落ごとの要点の紙を一人ずつに持たせ、文章構成図のように、縦や横に子供が並ぶ。

役割読み
役割に分かれて劇のように読むことで登場人物を検討する。

重ね読み
文末と文頭の言葉を重ねるようにして読む。間を空ける場合と比較して、人物の心情をイメージさせる

形容詞入れ替え読み
反対の意味になっている言葉(「大きい」「小さい」など)を入れ替えることで対比の意味に気づく。

情景表現置き換え読み
情景表現の言葉を正反対のものに置き換えて読むことで、情景表現の効果に気づく。

比喩表現とばし読み
あえて比喩表現をとばして音読することで、比喩の存在とその効果について気づかせる。

補い読み(体言止め)
体言止めの文に「だった」などの文末をあえて補い、原文と比べて音読することで、体言止めの効果に気づかせる。

倒置比べ読み
倒置法を使った文と使っていない文を音読して比べることでその効果に気づく。

クライマックス読み
中心人物の気持ちの高まりに合わせて音読することでクライマックスをつかむ。

 

上に紹介したのは本書の中の一部である。本書には他にたくさんの音読方法が紹介されている。これだけ音読のバリエーションを教師がもっておくと、国語の授業も楽しくなるだろう。

これらの音読は、その目的によって3つに分類されるという。(色分けを参照)

①すらすら型

正確に読むことを目標とする音読

②イメージ型

書かれていることがしっかりイメージできることを目標とする音読

③論理型

文章の論理構造を考えながら読むことを目標とする音読

 

子供たちのめあては「音読が上手になること」。しかし、教師のねらいは「深く読み取らせること」。子供にとっての、この目標のシンプルさが重要とのこと。

 

実際の授業展開例も本書には掲載されているので、興味をもたれた方には手に取っていただきたい。

 

投稿者プロフィール

アバター画像
masaki
誰もが自分の個性や才能を生かして、望む人生を自由に生きられる社会の実現を目指しています。今まで教育に携わりながらコーチング、心理学、カウンセリング、占星学、学習法など、個人の成長や能力開発に関わることを学んできました。このブログで発信する情報が、自己理解や他者理解を深めるきっかけの1つになれば幸いです。
詳しいプロフィールはこちら。