以前ブログで脳の働きを「象さん」や「象使い」にたとえ、両方をバランスよく活用することで目標達成がしやすくなることを述べました。↓↓
★旧ブログ 2018年5月14日エントリー記事
「目標達成における象(感情)と象使い(思考)」
「象さん」は人間の感情や感覚の比喩、「象使い」は理性や思考の比喩です。下の図で言うと「象さん」が得意なのは左半分、「象使い」が得意なのは右半分です。
この「象さん」と「象使い」の両方の力を最大限引き出し、学習を加速させるノート法があります。「マインドマップ」です。
マインドマップは英国の教育学者・トニーブザンが開発し、今や書店に行けば関連書籍がずらりと並んでいるなど日本でも随分知られるようになりました。マインドマップは子供でも簡単に使えて学習効果も上がる非常に優れたツールです。
マインドマップの描き方や背景となる理論の詳細は省略しますが、上のように通常のノート法と異なることは一目瞭然です。このお絵かきのような不思議なノートを描くと、なぜ学習効果が上がるのでしょう。その理由を7つにまとめました。
理由1 脳の自然な働きに沿ったノート法であり、脳全体(つまり(「象さん」と「象使い」)をフルに活用するノート法(学習法)である。色、イメージ(絵、アイコン)、曲線などを多用するため、文字や直線だけのノートより脳が活性化する
理由2 脳が活性化することで、描いたことが記憶に強く残る(色分けや描いた位置など記憶に残るフックがたくさんある)。描いたマップは何度も見返したくなるので、より記憶に定着する。(一度描いたら頭に入るのでマップは見返さないという人もいます)
理由3 遊び感覚で描ける。描くと楽しく、楽しいからどんどん描くというプラスの相乗効果が生まれ、学習量が増える。
理由4 脳が活性化するので、新しいアイデアが湧くなど、クリエイティブな思考状態になる。
理由5 紙1枚に収めるので、中心テーマに関わる内容・事柄の全体が俯瞰できる。さらに、事柄と事柄の相互関連、階層(上位と下位)、軽重なども可視化される。その結果、テーマに関わる内容・知識などがすっきり整理される。
理由6 ノートを書く時には、受身ではなく、考えながら書くという習慣が身につく。
理由7 「まちがったことは書いてはいけない」という思い込み(固定観念)を手放し、正解ではなくてもありのままの考えや自分らしさを素直に表現してよいことに気付けるようになる。
先ほど掲載した算数のマインドマップは、知識の整理のためのノートです。同じように、社会や理科の知識を整理するために描くのもよいでしょう。描いているうちに内容のつながりに気付いたり、大切な内容が覚えられたりするでしょう。
知識を整理する場面だけでなく、例えば作文の構想を考えたり創作のためにアイデアを出したりするときにも効果的です。短時間で描きたいときにはカラーペンを使わずに黒一色で描いても十分な効果があります。
最近はベン図やマッピングなどの思考ツールを学校でも教えるようになりましたが、従来は子供に教えるノート法のほとんどが、箇条書きなどのリスト型と呼ばれる直線的なノート法でした。リスト型のノートは、情報を正確に再現したり他者と正確に共有したりする場合には有効です。しかし、発想や創造が求められる場面にはあまり適していません。マインドマップはそういった場面でも役に立ちます。
情報化の時代は終わり、知識基盤社会、知識創造の時代に入ったといわれます。情報量が価値を生む社会から、新しい知識が価値を生む社会に大きく変わりつつあります。効率よく正解を出すことよりも、答えのない問題に対して、既存の知識や経験を組み合わせて解決策を考えたり、既存にない新たな知識や技術を創造したりすることが求められる時代です。
マインドマップを開発したトニーブザンは、そういった答えのない時代をよりよく生きていくためには、学び方に関する私たちのリテラシーを高めることが大切だといいます。脳の働きに即した学び方をまず習得し、その上で知識を積み上げていくことが、知識社会に必要な創造力を育むことにつながると主張します。
子供たちの学び方に関するリテラシーを高めるのに、マインドマップはとても有効なツールなのです。
(子供たちの学び方に関するリテラシーについて以前書いた記事はこちら↓↓)
★旧ブログ 2012年7月15日エントリー記事
「メンタルリテラシーを高める究極の2冊!」
投稿者プロフィール
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誰もが自分の個性や才能を生かして、望む人生を自由に生きられる社会の実現を目指しています。今まで教育に携わりながらコーチング、心理学、カウンセリング、占星学、学習法など、個人の成長や能力開発に関わることを学んできました。このブログで発信する情報が、自己理解や他者理解を深めるきっかけの1つになれば幸いです。
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