10年ほど前に2年生を担任したときに、「分数」が2年生の内容におりてきた。
2年生の子供たちでも、日常の中でものを半分にしたり、半分の半分にしたりするという経験をしてきている。また、1/2 、 1/4 などの分数表記を見たことのある子も多い。
「分数」の単元では、日常でもよく行う操作である「ものを半分にする」とか「半分の半分にする」という操作のイメージを基盤に、いくつかに等分したものの1つ分の表し方を知ることがねらいとなる。
授業においては、このイメージを言語と結びつけていくこと、つまり、子供たちが既にもっている「半分」のイメージを、「もとの大きさを同じように2つに分けた1つ分を、もとの大きさの2分の1という」といったように言語化していくことが大切である。
このイメージを言語化する過程で、子どもたち自身が「半分」の意味を語るようにし、その中で出た言葉を教師のかかわりをもとに練り上げていくことを経て2分の1の意味を教えるという展開を考えた。
それは、拙い言葉であっても子供たち自身が考えを伝え合うという試行錯誤の上に、思考力や表現力は育つと考えるからである。
授業づくりの工夫
1. 問題提示の工夫
導入(問題提示)場面で「もようくじ引き」というゲームをする。(このくじ引きは、もとの大きさの1/2の大きさになっている形が「当たり」になっている。)くじ引きをした後、「当たり」と「はずれ」を分類して掲示することにより、どんな形が当たりなのかを進んで考え、子供たち自らが「半分」の意味を語り出すことができるようにする。
2. 形の吟味
「もようくじ」のもとの大きさを同じにし、すべて正方形にする。円ではなく正方形にすることで、くじのバリエーションが広がり、ゲームの楽しさが増すだけでなく、なぜ「当たり」なのかを確かめることをしやすくする。また、当たりかどうかすぐに確かめることが難しいものについては、くじと同じもの(折り紙)を全員分用意することで、自分で切ったり折ったりして確かめることができるようにする。
3. 板書に発言を吹き出しで残す
どんな模様が当たりなのか、子供たちが語る言葉を板書に残す。また、必要に応じて「それはどういうこと?」と問いかけ、引き出された言葉を残すことを繰り返していくことにより、当たりの理由(2分の1の意味)が分かっていくようにする。
4. 児童同士の対話を生む教師のかかわり
どんな模様が当たりなのかを考える場面をはじめ、あらゆる場面でペアで考えたり(サクランボ)、友達の発表を聞いた後に何人かに言葉で再現させたり(リピート)、その再現自体をペアで行ったりするなど、様々な手立てにより子供たち同士の対話が生まれるようにし、本時のねらいに迫っていく。
指導案は、こちら!
本単元では「数と計算」領域である分数を、「図形」領域とクロスさせた展開にした。一見遠回りをしているようであるが、子供たちの活用力を育むためには、このような算数の各領域間をクロスさせた単元開発も必要だと感じている。以前ブログで紹介した「実物大九九カルタ」もその一例である。今後も6年間の系統を俯瞰し、学年間や領域間の内容をクロスさせた教材研究力をより高めていきたい。
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投稿者プロフィール
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誰もが自分の個性や才能を生かして、望む人生を自由に生きられる社会の実現を目指しています。今まで教育に携わりながらコーチング、心理学、カウンセリング、占星学、学習法など、個人の成長や能力開発に関わることを学んできました。このブログで発信する情報が、自己理解や他者理解を深めるきっかけの1つになれば幸いです。
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