昨日に続き、第20回全国国語授業研究大会(2日目)に参加!

今日も茗荷谷の筑波大学附属小学校へ行ってきた。

第20回全国国語授業研究大会の2日目。

(1日目の感想を書いたブログはこちら。)

今日も2本の公開授業があった。

 

1本目は、5年生の説明文「地図が見せる世界」

2本目は、 3年生の物語「ピータイルねこ」

 

1本目の教材「地図が見せる世界」は光村図書の平成8年度版の教科書に掲載されていたものだ。 当時自分もこの教材で授業をした記憶はあるが、どんな授業をしたのか全く思い出せない(汗)「大陸は動く」という教材と確かセットだった。

筆者の主張、つまり要旨は「私たちはあるものを見慣れるとそれが本当の姿だと思いがちだが、同じものでも見方を変えれば別の面も見えてくる。(したがって物事を決めつけないことや、いつも多様な視点から対象を見つめようとすることが大事!)」というものである。

(ここはコーチ目線で見るとなかなか深いことを主張している! 誰だって思い込みを手放すことは簡単ではないから。というより、それがあなたの思い込みです!と指摘されるまで思い込んでいること自体気がつかないから)

 

さて、この主張(抽象)を読み手(5年生)に納得させるために筆者はどんな事例(具象)を挙げて説明しているのかというと、なんと世界地図なのである。

2枚の地図を出し、1枚は日本が真ん中にある地図。

もう1枚はヨーロッパが真ん中にある地図。

 

たしかに日本が中心のメルカトル図法の地図を見慣れた私たちは、2枚目の地図を見ると東の外れのほうにポツンとあることや、アフリカと南アメリカが意外に近いことに驚かされる。。

日本を中心に世界が動いている、といったような錯覚、思い込みは持ってないかい?と筆者が語りかけているように思えてくる。

(ここで筆者の永田力さんってどんな職業の人だろう?と興味が湧いて調べてみたがはっきりしたことは分からなかった。)

さて、以上のような筆者の主張を、根拠となる事例と結び付けながら捉えることが高学年では大事。それが今日の授業ではよくできていたように感じた。授業者の先生の教材へのしかけ(「あるものを見慣れると」の部分をわざと「ある地図を見慣れると」と書き換え比較させたこと)もよかった。

 

2本目の授業は、筑波大学附属小学校の青山由紀先生の授業(3年生)。

教材は「ピータイルねこ」という物語。

まずこの 物語、作品としてとても魅力がある。

3年生の子どもはもちろん、大人が読んでも心温まる。

なぜなら人間が普遍的にもっている「愛とつながり」「成長」という感情的なニーズが、この作品を読むことで満たされるからである。

おくびょうでおそらく一人ぼっちだった主人公に、黒ねこという初めての友達ができる。

気弱で先生と一緒じゃないと運動場に出られなかった主人公が、「なんだ、あそこも行けるんだ。」と言えるまでになる。

 

ファンタジー作品だが、黒ねことは一体何だったのだろうか?

勝手な解釈だが、黒という色からして、主人公の内面にあるネガティブの象徴のような気がする。

 

では、黒ねこと友達になったということは何を意味するのだろうか?

おそらく、自分の中のネガティブを統合したということだ。

 

なぜそんなことができたのか?

それは主人公が怖れに飲み込まれないで最初の小さな一歩を自力で踏み出したからだ。

 

どんなに最初の一歩が小さくても、踏み出すこと自体に大きな価値があり、歩みを始めてみれば怖れは単なる思い込みだったり、自分が勝手に生み出した幻想であったりするものだ。

だから主人公は一歩踏み出すことで、あれよあれよと容易にゴールまでたどり着いたのだ。

 

筑波のあれだけ育った3年生だったら、

「黒ねこがいなければ、みどり(中心人物)はやっぱりおくびょうのままなのかな?」

「黒ねこって結局(正体は)何だったのかな?」

と発問してみたくなるが、これはファンタジー作品の授業では禁じ手なのだろうか?

 

作品の力もあるが、もちろん授業者の青山先生の手腕によって子供たちの「課題に向かって思考し続ける学びの様相=深い学び」が見られた見事な授業だった。

充実した2日間。2日間で4つの教材の研究ができてよかった。

 

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masaki
誰もが自分の個性や才能を生かして、望む人生を自由に生きられる社会の実現を目指しています。今まで教育に携わりながらコーチング、心理学、カウンセリング、占星学、学習法など、個人の成長や能力開発に関わることを学んできました。このブログで発信する情報が、自己理解や他者理解を深めるきっかけの1つになれば幸いです。
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