小学校学習指導要領(平成29年告示)に示された「深い学び」とは? 上智大学・奈須正裕先生の言葉①

平成29年3月に告示された学習指導要領は、新しい時代を生きる子供の資質・能力の育成を柱としている。

資質・能力とは、

「知識及び技能」
「思考力、判断力、表現力等」
「学びに向かう力、人間性等」

である。

この資質・能力の育成のために

「主体的・対話的で深い学び」

の実現が求められている。

この「主体的・対話的で深い学び」こそ今の教育界のキーワードであるが、これは子供のどんな学びの姿を表しているのだろうか。

 

最近読んだ本の中にあった上智大学・奈須正裕先生の説明が非常にわかりやすかったので、本からの引用という形でぜひ紹介したい。

(その本とは、『国語授業における「深い学び」を考える -授業者からの提案- 全国国語授業研究会 筑波大学附属小学校国語研究部編著(東洋館2017年8月初版)』である。)

数回に渡って内容をシェアする。

「主体的」に込められているもの

学びの意義とか、学んでよかったなとか、自分は今後もこういうふうな角度で学びに関わっていこうということ。

学びの意味が分かって今後もこうしていきたいというような長期的で安定的な学びに向かう態度、意志(WILL)。意志とは根性ではなくスキルに近いもの。

計画を立て、準備をし、見通しを持ってやることで、それが本当にうまくいったかどうかを振り返る。メタ認知みたいなことも含めて、自分で学び続けていける子供になってほしいということ。

意欲的なだけでなく、もっと意識的で自覚的な制御のもとに学習という活動を今後もやり続けていく子供。

そのために、子供が学びを振り返って、そのよさを実感して、自分ならではの学びに対する角度を見出すことが大事。

自分の将来にどうつながっていくか、といった学びの意味を小学校は小学校なりに子供が形成できるように教師が支えるということ。

だから、学ぶという営みが一人一人の子供にとってどういう意味があるのかということを深く実感させて、そのよさに基づいて毎日生きていこうと伝えていくという結構大きな話。

授業を子供が目的を持って判断して意志決定しながら、あるいは自分の学習過程をモニターしながら進められるものとする。子供が主体となると同時に、一人一人が個性的に動き、その教科の学びの本質に行くように教師が上手に導いてあげるということの両方が必要。

注)太字は私が施したもの

 

どうだろう。主体的な学びについて少しはイメージできただろうか?

このような学びの姿ははっきり言って大人でも容易なことではない。学びのよさを実感し、自分なりの学びのスタイルを確立して一生学び続けていこうという話なのである。新しい学習指導要領では、子供にここまでを求めている。

「絵に描いた餅」に終わらせず実現できるのか? それは、現場の教師にかかっている。

次回は「対話的な学び」について紹介したい。

 

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masaki
誰もが自分の個性や才能を生かして、望む人生を自由に生きられる社会の実現を目指しています。今まで教育に携わりながらコーチング、心理学、カウンセリング、占星学、学習法など、個人の成長や能力開発に関わることを学んできました。このブログで発信する情報が、自己理解や他者理解を深めるきっかけの1つになれば幸いです。
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