2学期最後の文学教材は「プラタナスの木」。
コロナで授業時数が削減される中、今回は6時間という短い時数で指導することになった。
指導の経過は以下の通り。
1・2時 通読。物語の設定(時代、場、登場人物)の確認。
場面ごとに小見出しをつけたり、初発の感想をまとめたりした。
3時 おじいさんの人物像をとらえる。
初発の感想で「おじいさんは木なんじゃないか?」という考えが複数出たので取り上げ、それを確かめるために「おじいさんの人物像をさぐる」という課題を設定した。
おじいさんが木なのかどうかははっきりとは書かれていないが、読者にそう思わせる表現が多数あることを話し合い、それがこの作品の面白さ・魅力に繋がっていることをまとめた。
4時 中心人物の変化を読み取る。
中心人物であるマーちん(たち)が、はじめと終わりでどう変わったのかを話し合った。子供たちから出た考えは、おおまかに以下の3つに分類できた。
A プラスからマイナスへ
おじいさんがいてサッカーも盛り上がっていたのに、おじいさんがいなくなり、サッカーもつまらなくなった。
B ゼロからマイナス、最後はプラスへ
最初はみんなふつうに遊んでいたけれど、台風でおじいさんもいなくなってマーちんたちは悲しくなった。しかし最後は、おじいさんもきっと来て、プラタナスの木も芽を出すだろうと考えるようになった。
C ゼロからプラスへ
はじめはプラタナスの木についてみんなあまり知らなくて、ただの日かげだったけれど、最後は木が大切になっている。
プラタナスの木なんてどうでもよかったのが、終わりでは木を助けようとするなど、大切にしている。
遊ぶだけで木の気持ちなんて考えていなかったのが、おじいさんの言葉で、木の気持ちが考えられるようになっていった。
はじめはプラタナス公園でサッカーをして遊びたいと思う気持ちだけだったけど、おわりの方は、プラタナス公園へ行ってプラタナスの木の芽が出るまで、ぼくたちが木やみきやえだのかわりになりたいという気持ちになった。
自分たちの「公園」から、自分たちで守る「プラタナス公園」になった。プラタナスの存在が大きくなり、おじいさんの存在も大きくなった。
Cの考えが多く出て、共感する声も多かったので、下の図のように中心人物の変化をまとめた。
5時 中心人物の心情が変化したきっかけを読み取る。
ちょうど一年前、本ブログでも記事を書いたが(下のリンクを参照)、セミナーで学んだことをそのまま生かして「何をきっかけにして心情は変化したのか?」と発問した。
(参考)「第26回 国語授業づくりセミナー」(筑波大学附属小)に参加してきた。
変化のきっかけは1つではなく、下図のように「おじいさんに聞いた木の根の話」「台風がきてふるさとの森の強さや偉大さに気づいたこと」「実際にプラタナスの木が切られたこと」などが折り重なるようにきっかけとなって、心情が変化したことをまとめた。
6時 作者が伝えたかったこと(主題)をとらえ、終わりの感想を書く。
最後に、中心人物の変化・きっかけをまとめた図を見ながら、作者が伝えたかったことは何か(主題)を話し合った。
説明文の学習においては、筆者が伝えたいことは「要旨」であり、文章中に書かれている。読み取り方も学んでいる。
しかし物語文の学習においては、作者が伝えたいこと(主題)は読者が作品にちりばめられたエピソードから受け取るしかない。
物語の主題をとらえるための最も基本的な方法は、中心人物がどのように変化したのかを読み取ることと、そのきっかけを考えることである。
授業では、「椎名さん(作者)がこの作品を通じて読者である全国の4年生に伝えたかったことは何か?」「自分は何をメッセージとして受け取ったか」を話し合った。
A 台風のこわさ
B プラタナスの木の大切さ
C 木や森の大切さ
D 自然の大切さ、偉大さ
やや難しかった学習課題であったが、作者は「マーちんたちが様々な出来事を通して身近なプラタナスの木に対する見方や感情を変化させていく」姿を描くことを通して、読者にも「自然の強さや大切さ、偉大さ」に気づいてほしかったのではないか、と話し合った。その後それぞれが終わりの感想を書いて学習のまとめとした。
さて、「白いぼうし」「一つの花」「ごんぎつね」「プラタナスの木」と続いてきた4年生の物語の学習も、残すところ「初雪のふる日」のみになった。昨年度はコロナで休校になってできなかった教材。初めて授業作りをするので楽しみである。
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誰もが自分の個性や才能を生かして、望む人生を自由に生きられる社会の実現を目指しています。今まで教育に携わりながらコーチング、心理学、カウンセリング、占星学、学習法など、個人の成長や能力開発に関わることを学んできました。このブログで発信する情報が、自己理解や他者理解を深めるきっかけの1つになれば幸いです。
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